胃ポリープ

胃ポリープ

胃ポリープとは

胃ポリープは、胃粘膜の表面にできた腫瘍で、多くはいぼのように隆起しています。基本的にポリープ自体の自覚症状はなく、胃カメラ検査や造影剤を使ったX線検査で偶然発見されることがあります。
良性と悪性(がん)に大きく分けられ、良性がほとんどを占めますが、良性でもがん化リスクがあるポリープも存在しますので慎重な判断が重要になってきます。
良性の胃ポリープは胃底腺ポリープと過形成ポリープに分けられ、悪性胃ポリープには前がん病変の胃腺腫と胃がんがあります。これ以外にもいくつかの種類の胃ポリープがあり、胃カメラ検査で状態・構造・形状・サイズなどを詳細に観察した上で組織を採取し、病理検査を行うことで確定診断できます。

胃底腺ポリープ

ピロリ菌感染していない胃に発生するポリープです。色の変化はなく、がん化することもほとんどないとされています。複数ある場合やサイズが大きい場合も切除は必要なく、経過観察となります。

過形成ポリープ

ピロリ菌感染しており、炎症などを繰り返している荒れた胃にできやすいポリープです。赤みがかっているなど色の変化や出血がみられることもあります。がん化リスクがありますが、ピロリ菌の除菌治療に成功すると過形成ポリープの7割が縮小や消失するという報告がされています。
出血やがん化リスクが高い場合は内視鏡による切除が必要ですが、そうでない場合にはピロリ菌の除菌治療を行って経過観察します。

胃腺腫・胃がん

胃腺腫は胃がんの前がん病変であり、この段階で切除することで将来の胃がん予防につながります。胃がんだった場合、早期であれば内視鏡による切除が可能ですが、進行している場合には外科手術が必要になる可能性があります。

胃ポリープの症状

胃ポリープ自体が症状を起こすことはほとんどありません。ただし、合併している慢性胃炎などがある場合にはその症状を起こします。慢性胃炎では、上腹部痛、胃もたれ、胸焼け、食欲低下などの症状を起こしますが、こうした症状は胃潰瘍や胃がんなど様々な消化器疾患と共通していますので、消化器内科で適切な検査を受けて原因疾患を特定することが重要です。

胃ポリープの検査・診断

胃カメラ検査であれば、微細で表面変化に乏しい胃ポリープの発見と、タイプや種類、がん化の有無などを正確に判断し、組織を採取して病理検査を行うことで確定診断も可能です。
造影剤を用いたX線検査では大きさや位置により発見が困難なケースがあり、確定診断のために別途胃カメラ検査を受ける必要があります。
胃カメラ検査であれば、形状や構造、色の変化、出血の有無、サイズや個数など詳細なポリープの情報を確認でき、確定診断に基づいた最適な治療を選択できます。

胃ポリープの治療

1㎝以下の小さなポリープの場合は、経過観察が選択される場合があります。2㎝以上のポリープや、それ以下でも前回に比べて明らかに大きくなっているポリープの場合は、がん化している可能性があり、内視鏡による切除が行われます。内視鏡による切除ですが、入院の必要があります。

胃ポリープの切除

胃底腺ポリープは良性でがん化リスクもほとんどありませんので切除は必要ありません。
過形成ポリープは切除するケースもありますが、ピロリ菌の除菌治療に成功すると7割程度が縮小・消失するとされていますので、基本的には除菌治療と経過観察が行われます。ただし、過形成ポリープが出血を起こしている場合や、がん化・またはその可能性が高いと判断された場合には切除を検討します。
胃ポリープ切除は、一般的に内視鏡による手術として行われますが、外来の日帰り手術として行うことはありません。出血や穴が開く穿孔のリスクがあることから入院による手術となります。入院期間は1週間程度です。切除が必要と判断された場合には、入院が可能な連携高度医療機関をご紹介しています。

胃ポリープの消失

過形成ポリープの場合、ピロリ菌除菌治療に成功することでポリープが消失することがありますが、胃ポリープは放置して自然に消えることは基本的にありません。切除が必要な場合もありますが、経過観察で十分なケースもよくあります。

胃ポリープの原因

胃底腺ポリープはどういった原因で発生するのかまだわかっていませんが、胃酸分泌抑制薬のPPIを長期的に服用されている方やピロリ菌除菌治療に成功した方にできるケースがあります。
過形成ポリープはピロリ菌感染陽性の方に発症しやすい傾向があり、慢性胃炎を合併していることもよくあります。

胃ポリープの経過観察

胃ポリープの大部分はがん化リスクのほとんどない胃底腺ポリープであり、基本的に経過観察となります。胃底腺ポリープでもまれにかん化するケースが存在しますので、定期的に検査を受けて胃ポリープに変化がないかを確かめることが重要です。
過形成ポリープの場合は、がん化するリスクがありますが、ピロリ菌除菌治療に成功することで縮小・消失するケースが7割程度あるとされていますので、除菌治療を行って経過観察となります。経過観察中に、出血やサイズが大きくなっているなどがん化リスクが高いと判断された場合には切除手術が必要になります。

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